1998.10 NO.
47
運輸政策研究機構
研究調査報告書要旨
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プルトラック化(2社化、3社化)を推進すべ きこととされた。この方針に従い、国内線では ダブル・トリプルトラック化が鋭意推進され、
航空会社間の競争促進が図られてきた。平成4 年及び平成8年の2回にわたりダブル・トリプ ルトラック化のための輸送量基準の緩和が実施 され、更に平成9年4月には同基準が廃止され、
一層の競争促進が図られている。
○ 運賃制度の弾力化と価格競争の実現
近年の国内航空市場の規制緩和は、価格面に おいては、平成6年の割引運賃の弾力化に始ま る。それまでは、普通運賃及び割引運賃ともに 運輸大臣の認可事項とされていたため、各航空 会社とも各路線同一運賃であり、各事業者間の 価格競争は存在していなかった。 平成6年の 時点では、営業政策的な割引運賃について5 0%
までの割引率であれば事前届出で足りることと し、割引運賃を巡る各社間の競争が可能になる 制度が導入された。これは、近年の航空におけ る規制緩和の第一歩であった。
平成7年に入り、価格面では未だに手がつけ られていなかった普通運賃についても抜本的な 制度変更がなされた。これが幅運賃制度の導入 である(平成7年1 2月導入)。この制度は、運 輸省において算出された標準原価を上限とし、
そこから一定幅内で各航空会社の自主的な運賃 設定を可能にするものであり、平成8年5月か ら実施に移された。この制度の導入により、国 内航空市場において、割引運賃のみならず普通 運賃についても競争原理が導入されたが、この 影響はかなり大きいものである。
幅運賃制度の導入を契機とする航空各社間の 価格競争は、普通運賃水準そのものよりも、む しろ、割引運賃の多様化により進展してきてい る。例えば、平成8年8月以降に導入された割 引運賃は、最大割引率が5 0%に至る事前購入型 割引や深夜・早朝の便を対象とする特定便割引 等があり、種類の拡大とともに割引率の拡大が 図られ、利用者の利便向上が図られている。こ
の結果、平成8年6月〜9年5月の航空会社の 旅客人キロ当たり運賃収入は、1 7 . 9 7円/人キロ と対前年同期比で2.8%低下した。
より詳細な計量分析によれば、平成8年8月 を境に、航空利用者による実質的な運賃負担額 は総額で月に約 4 2億円程度減少しており、現実 に利用者の実感としても航空運賃の低下が認識 されている。
○ 参入を巡る規制緩和
一方参入面における制度については、ダブ ル・トリプルトラック化の推進を通じて、各路 線における航空事業者間の競争を促進する施策 が実施されてきており、平成8年には、幅運賃 制の効果を引き出すためにも、2度目の基準緩 和が実施された。更に、平成9年には同基準が 廃止されている。今回の調査では、ダブル・ト リプルトラック化路線における複数社運航の推 進による効果として、運航回数の増加、運賃の 低減による利用者負担の減少に加え、航空需要 の増加をもたらしたという結果が得られている が、一方で事業者にとって、座席利用率の低下 というデメリットも生じてきている。従って、
現状においては航空各社とも供給過剰な状態に 陥っているといえ、今後はより適切な供給バラ ンスの確保を目的とする路線構成の再編、運航 便数・運航機材の見直し等が進展すると考えら れる。
ダブル・トリプルトラック化は、昭和6 1年以 降の国内航空市場の競争促進施策の柱として実 施されてきたものであり、上記の通りその効果 はあったと言えるが、特に、割引運賃や幅運賃 制が導入されたことにより運賃が競争手段とし て機能するようになった近年になって、より大 きな影響を及ぼしていると考えられる。
報告書名:「運輸産業における規制緩和の効果等に 関する調査」
(資料番号 0901037)
A4版 184頁
報告書目次:
第1章 調査目的